Nuits Blanches

眠れない夜に萌えとか考察を無節操に投げつけるブログ

3月21日SHIROH(DVD)

ようやく買えてようやく観れました。というかあっきーにドボンして迷わず買った。

私がミュージカルのミの字も知らない一回り以上も前に、30年ぶりの新作と銘打ってこんな作品やってたなんて帝劇もファンキーな時代があったんですねえ。数年に1回くらいでいいからまたこういうファンキーな企画やってくれたりしないかな。今のスタンダードな豊潤なオケのミュージカル嫌いじゃないですけど。

純国産ミュージカルは宝塚を除いて、『ジョン万次郎の夢』『夢から醒めた夢』『李香蘭(DVDのみ)』(ここまで四季)『ひめゆり』(ミュージカル座)と見てきたわけですけれども、個人的にはかなり好きな部類。というかこの4作品と並べるには異色の出だけれど。

キリスト教の中でもキリシタンという特殊なものを題材にしてるからか多少冗長な説明や筋書きがちらほら感じられるきらいはあるけれど、その中でもここまで感動させるストーリー作りと役者の熱量は純粋に素晴らしいと思った。音楽もノリやすいしコーラスの使い方も悪くない。

あと最大限の評価をしたいのは題材選びと大胆なアレンジ・解釈力。キリシタンを扱うというのは確かに勇気がいる、けれど民衆が負ける戦(=島原の乱)とJCSをベースに、自由のために抗う2人の四郎と民衆を主題に持ってきたそのアレンジ・解釈力は舌を巻きました。

 

で、もっと国産ミュージカルでこういう大胆なアレンジや解釈を加えたものが観れるといいなって思うんですよ。別にオーストリア皇后の放浪と暗殺は死に取り憑かれていたから(エリザベート)だとかエリザベス1世が結婚しなかったのは即位前に身分違いで愛し合った吟遊詩人がいたから(レディベス)だとかそういう斬新すぎる解釈をしろとは言わないから、アレンジと解釈のスパイスを効かせた濃密で勢いのあるストーリーや人物造形を打ち出せる人が出てくれると、今後の国産ミュージカルも安泰なのかな?って思います。少なくとも10年以上も前にロックとはいえキャッチーな音楽を作れる人はいるんだから今ならもっといるでしょうよ。