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Nuits Blanches

眠れない夜に萌えとか考察を無節操に投げつけるブログ

1789全対訳

twitterのアカウントで1789の全対訳を配布しております。詳しくは8時間ごとに流しているbotが宣伝しておりますので探してください。

何故全対訳を配布しようと思ったのかというと、私自身もそうでしたが1789ロスに陥っている人が多くCDが届くまではフランス語―日本語対訳でロスの傷(?)を癒してほしかったこと、また単純にフレンチミュージカルについて触れてほしかったということもあり、着手しました。それに英語ならともかく、ミュージカル界隈に属しながらフランス語をある程度理解できる人ってやはり限られてしまうので、こうした壁をどうにか越えられないかとも考えた結果です。

 

 

今回和訳をするにあたり1番気を付けたことは、まず出来るだけ1789ファンの間で共有されているであろうイメージ像に沿った和訳をすることです。要は「私の中の1789を出さない」「客観的に見てファンが最低限納得できそうな和訳にする」です。なので"Je mise tout"(全てを賭けて)のマリーの口調は少し回りくどいし、"Nous ne sommes"(国王陛下の名の下に)のペイロールは語尾に"ぜ"なんてつけません(「脅しじゃない本気だぜ」のこと)。後者に関しては歌詞あてはめで音が余っちゃったんでしょうけどね。

それに付随して言葉選びもすごく気を使いました。綺麗だけが翻訳の目指すところではないのですが、やはり多くの人にお渡しするものである以上、下品な言葉を使うことはしていません。そこらへん1番苦労したのは"Je suis un dieu"(私は神だ)ですね。なんとなくわかるかと思いますが、semenceは歌詞の流れから言ってあれは「精子」と取るべきですし辞書にも載っています。でも直球すぎて無理だなと思いああいう訳になりました。というかあの歌詞全体的に気まずいですけど。

あとカタカナもほぼ使ってません。ハートのエース("Je mise tout")のようなカタカナが一般的な場合や地名・人名等の固有名詞そしてどうしようもない場合を除き、極力外来語は使わないのが私の信条です。和訳するとひらがなと漢字のオンパレードになるのが普通ですが、そこにカタカナを混ぜると和訳としての調和が崩れるような気がして好きじゃないし気軽に使えないです。ベッドだって使いたくなくて「臥所」("Je suis un dieu")を採用しているくらい和訳でのカタカナ語には抵抗があります。

そして次に気を付けたことは、日本語訳のテンポの良さです。ただ優先順位は意味≧テンポなので、全てではないです。実際比較的くどい訳もなくはないです。でもどう訳しても重たすぎる訳になる場合は思い切った意訳に踏み切っています。例えば"La guerre pour se plaire"(この愛の先に)の"Ce qui nous attire, nous sépare / Ce qui nous attire, nous égare"は今回「引きつけられて、引き裂かれ/引きつけられて、惑わされ」という訳になっていますが、本来の意味は「僕たちを引きつけるものは僕たちを引き裂く/僕たちを引きつけるものは僕たちを惑わす」です。でも長いし私もウザいわと思ったので、「僕たち」を目的語から脱却、主語に置いて受動態としました。

 

……とあれこれ試行錯誤しながら生まれました。プロの翻訳家ではないし複数の助けを借りたわけでも歌詞を徹底研究したわけでもないので、もしかしたら爪が甘いところとかがあるのかもしれません。それでも末永く(?)付き合っていただけると嬉しいです。もちろんご指摘疑問等ありましたらご連絡ください。